だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人。「純粋未修」で法科大学院に入学し、司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

法律学習の管理方法-学習の見える化

※2019年8月2日 若干改訂しました

何をどれくらい勉強する?

後輩「自分に適した勉強法が見つけられないんです」
私「そう簡単に見つからないよねぇ。今は、どんな勉強をしてるの?」
後輩「基本書や判例集を読んだり、演習書を解いたりです」
私「それぞれ、どの位の分量かな?科目別でいうと?」
後輩「や~よくわからないけど、インプット6のアウトプット4くらいですかね」
私「うーん、ちなみに、結果(定期試験や模試)はどう?勉強の方法と関連はある?」
後輩「…」

学習法を確立するには

 「最高・最強の学習法」が客観的に定まらない以上、最適の学習法を模索しなければならないわけですが、問題は、これをどうやってやるかです。基本は、ビジネスと同様、PDCAサイクル をグルグル回すことでしょう。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)という、経営管理・生産管理の場面で、常識的に用いられる概念です。PDCAはもう古いよ、とも言われますが、少なくとも暗中模索するよりは良いと思います。

 PDCAサイクルって、法律の学習においては、具体的にはどうやって回すんでしょうか。ロースクールで、特に学生さんが苦手としているな、と感じたのはCheck(評価)です。というか、上記の通り、「そもそも自分が、何を、どのように、どれくらい学習したのかを把握していない」人が多いように思います。Checkの前提となる、学習状況(Do 実行)の管理ができていないのです。
 そもそも、販売原価だとか、労務費など、客観的数値のコストが積み上がるビジネスの世界と違い、確かに、「法律の学習」をいかに計測し、管理するかは難しい問題です。しかし、既に予備校などで一通り基本的な学習を終えて、復習作業に入っている人ならともかく、初学者から迅速に司法試験合格レベルに到達するには、とにかく限られた時間を有効に活用しなければなりません。

学習状況を管理する

 そこで、非常にありきたりなのですが、「学習日記」をつけることをオススメしたいと思います。自分がどんな学習をしているかを把握してはじめて、「演習問題を30問✕2周解いたわりに、定期試験が悪い。これはひょっとして、問題の読解力がついていないのではないか。長い問題文の演習書に変えるべきではないか。」など、具体的なCheckができるというものです。

 また、学習日記は、自分の学習の「見える化」になりますから、モチベーションの維持にも役立ち、結果的に勉強量の維持・増加につながると思います。

学習日記をつけるときのポイント

  • 過度に時間をかけすぎると本末転倒なので、1日あたり10分くらいで記録できるフォーマットにしておく。
  • 後々のCheck→Actのために、なるべく客観的な数値も記録しておく。
  • 記録する数値は、「勉強した時間数」ではなく、「択一の問題数」「通読のページ数」や「演習問題の数」などの方がオススメ。「1日10時間勉強したが、基本書が20ページしか進まなかった」では無意味なので。また、時間数は有限で伸びしろが無いが、「同一の時間にこなせる問題数等」は学習が上手になってくると増加するため、これまたモチベーション維持に有用。
  • 可能であれば、Excelなど表計算ソフトに客観的な数値を打ち込んでいくと、データ分析により、後々のCheck→Actが簡単になる。

筆者の学習日記

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 こんな具合に、択一(解いた肢の数)、論述式問題数、通読ページ数、ロースクールの予習時間、論証集の通読を、週あたりの数値として記録していました。毎日の学習の終了時に打ち込んで加算していくということです。この学習日記(表)の役割は、

  1. 目標値の達成率を確認する(特に根拠なく、30000肢、3000問、30000頁通読を目標にしていた)。
  2. 各学習量を計算して出される「総学習量」が落ちないようにする

という2点です。総学習量など、時間軸に沿った増減を把握するため、グラフにもしていました。

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ちなみに、総学習量の算式は、肢別+論述問題✕10+10頁分の通読✕4+予習のコマ数✕10+論証集の通読✕100を適宜の数で割って、整数化したものです。

すなわち、

  • 論述問題を1問解く=講義の1コマ分の予習=10肢分の学習量
  • 論証集の通読=100肢分の学習量
  • 基本書の2.5頁の通読=1肢分の学習量

というわけです。私は、択一が大嫌いだったので、択一の価値を高めるような配分になっていると思います。また、講義の予習にいくらでも時間を使ってしまうタイプだったので、これを抑制するために敢えて予習の価値は低く配分しています。

 この様なデータを作っておくと、Check→Actが非常にシンプルになります。すなわち、定期試験や模試で結果が出なかった場合は、①目標値の設定がマズい、②総学習量が落ちている、③総学習量の算式、すなわちコストの配分が間違っている、のどれかと考え、これらを改善すれば良いからです。

 上記の表の目標値(各科目の論述問題の傾斜配分)、総学習量の算式は、日頃の見直しによって導き出した数値です。

まとめ

 私はPCスキルがあったのでExcelで管理していましたが、あくまでコストパフォーマンスが合う範囲内で、学習日記をつけてみてください!