だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

ひたすらご質問に答える記事2

 こんにちは、たすまるです。さて、またまた良い質問コメントが続いておりますので、まとめてご回答致します!何度もくどいようですが、あくまで私の主観的な意見ですので客観的正確性は知らーん、です。

1. 簡易答案構成について

1-1.簡易答案って何?

質問なのですが、本文中に演習書については簡易答案作成と書かれていましたが、フル答案と比べてどれほど簡易な形でなさっていましたでしょうか?フル起案だと演習量が確保できないためどうすべきかと迷っております。何かしらルールを決めてらっしゃったのであれば教えて頂けますでしょうか?

 まず、「簡易答案」とは何か、ですがこれははっきり定義がある訳ではなく、各人のアウトプット学習に適した答案である必要があります。筆者の場合、(受験生の中では相対的に)かなり表現力が高いはず、という謎の自信がありました。すなわち、数行の箇条書きで構成が出来ていれば、細かい言い回しや事実の摘示&評価は現場でできるだろう、という自信です。従って、筆者の「簡易答案」はこのような感じでした。

  • 分量は、司法試験の過去問であれば、1問あたり数行。1教科あたり解答用紙1~2枚
  • ①条文の摘示、②問題提起、③規範(のようなもの)定立、⑤結論を簡単に書く
  • ④あてはめは上記の通り、省略

 工藤北斗先生の「実況論文講義」の、「合格者さんが書いた答案構成」(手書きのもの)に雰囲気、いや分量だけは近いと思いますので、持っている人は参照してみて下さい。

工藤北斗の実況論文講義 商法

工藤北斗の実況論文講義 商法

 

 とにかく①条文&②問題提起を重視していたことについては、下記記事を参照して下さい。

 また、③規範(のようなもの)と書いているのは、文言でなく意味内容の正確性を重視していたためです。こちらについては、下記記事を参照して下さい。

1-2.起案の頻度など

(中略)答案構成を作成するという勉強は行っておられましたか? もし行っておられた場合、どのような頻度・方法で行われいたのか教えていただきたいと思います。 私は論点にあたりをつけるくらいしかできず、すぐに答えを見てしまい結局ただ読む、というような感じになってしまっています…。 行政法でいうと、処分性や原告適格の定義を書いて、なんとなくの当てはめをする、というようなレベルです。

 上記のような感じで、筆者は簡易答案の起案を好んでやっていました。具体的な方法は、上記の通り。頻度については、下記記事にその一端が見られるかと思います。

 なお、何度も申し上げていますが、筆者は表現力に自信があったため、起案の分量が「簡易答案作成8:フル起案2」という感じでした。これは良い子には全くおススメできません。「どんな答案を」「どれくらい起案するか」もまさに人により千差万別であり、適したやり方を自分で見つけるー問題演習方法の確立ーのも、大切な勉強です。

2. 要件事実などの学習法

独学で予備試験合格を目指して勉強を始めたのですが、「民事実務の基礎」、「刑事実務の基礎」の2科目をどのように勉強していけば良いのか分からず、困っています。  

別の方からも、

要件事実についても、各論点ごとにまとめノートを別途作ったり、あるいは民法や民訴のノートに何か記載したりなどされていたのでしょうか。 また、刑事実務はどうでしたか。 予備試験の実務科目対策を考えているものの、マニュアル入門や新問研を読んでもどこまで暗記するか、そもそも暗記するものなのかがわからず、学習する方針が定まりにくいです。何か対策やポイントをお教え頂ければ幸いです。 

 とのことでした。う~む、要件事実論と刑事事実認定については、個別記事を書くべきですね。前者につき、新加入予定のT君(筆者の恩師ですね!)、後者につきぺんすけさんに丸投げしたいところです。いや、筆者も考えますが。

 とりあえず、筆者の思うところを簡単に申し上げますと、

 でも(うっすら)触れている通り、基本的には、①正確な実体法(民法・刑法)の知識と、②若干の訴訟法(民訴法・刑訴法) の知識があれば、まあ論理的に導出できるものです。従って、暗記する!?という選択肢は筆者の中ではゼロでした。特に民事は、京大系の先生の書籍をメインウエポンとしていれば、何度も言及される中で自動的に身についていくように思います。

 刑事系(近接所持の法理など)は、若干の暗記が必要なようにも思いますが、まさに若干、A5の論証集で言えば数ページ分も無いと思います。

 従って、民事系にせよ、刑事系にせよ、事実論を暗記しなければならない状況となった場合は、上記①②の勉強不足ではないかを疑った方が良いと思います。事実論の勉強は、①②の後でも十分間に合います。

 法律の学習全般につき、継ぎはぎの暗記ー断片的知識よりは、体系的な理解ー有機的知識の方が効率的である(と筆者は思う)ことについては、下記記事を参照して下さい。

 そういった意味では、

今まで短答の過去問を解くことを中心に行ってきましたが合格点に届かず、論文も勉強していくという形にシフトしようと思ったものの、それも中途半端な答案構成で終わってしまっているような状況です。 今自分が抱える問題点としては、断片的な知識しかなく、全体的・有機的な理解ができていないことにあると考え、まずは薄い基本書をしっかり読むこと、論パを覚える際も、周辺知識を入れることを意識するようにしようと考えているところです。 

 論パを覚える(木になっているリンゴを覚える)→周辺知識を覚える(リンゴのなっている幹や枝を覚える)という順番も適切ではないように思います。正反対ですね。樹木のだいたいの形を把握してから、幹や枝に結実する論点を覚えていくわけです。

3.憲法の判例学習

行政法の記事、特にケースブックの使い方の記事が参考になりました。 あまり判例学習を重視してこなかったのですが、考え方を学んでいくことで、司法試験の誘導が何を言わんとしているのか、スムーズに入ってくるようになりました。 (中略) 質問ですが、憲法において、同じような方法・目的で、例えば『精読憲法判例』を使用することは有効でしょうか。 

 そりゃあ「精読憲法判例」をぶっ潰すことは司法試験にとって間違いなく有用です。しかし、時間は有限です。そして、同じ「判例の思考枠組みを追体験する」という勉強法でも、行政法の方が憲法よりもコスパが高いと私は思っています。

 憲法における受験生の悩み(の主流)は「判例の使い方がわからない」ですが、行政法はそれよりもさらに深刻で「答案の書き方(特に本案)がわからない」というものです。そうすると、「判例っぽく立論できる」ことのメリットは、相対的に、行政法の方がより大きく出るわけです。そもそもライバルは答案が書けないのですから。従いまして、私としては、「精読」を1ランクダウンした(それでも十分骨の折れる)「憲法判例の射程」の方が勉強のコストパフォーマンスが高いと考えています。

4.個別法の学習法

全ての記事を拝見して、大いに参考にしております。(中略)よく行政法は個別法の理解が大事ということを聞きますが、たすまるさんは、個別法(例えば、都市計画法とか土地区画整理法とか等々)の概要やまとめみたいなものをストックされていましたか?判例で出てくる程度のチェックでよいとか、一応、処分性のある規定だけでもまとめたほうがよいとか、アドバイスをいただければと思います。

 行政法好きとしては嬉しい質問ですね~。しかし、まず疑問なのですが、そもそも「行政法は個別法の理解が大事」と言いますかね。個別法は、問題に出てくる限りで正確に読み解く必要はあるーそういった意味で、理解は大事ーですが、覚える必要はほとんどありません。下記記事もご参照下さい。

 上記の記事や、ケースブック行政法の記事でも触れていますが、これはよくよく考えると当然のことです。まず、行政法(の、少なくとも答案)においては、個別法は「あてはめの対象」のように振舞います。確かに解釈は必要なのですが、解釈の指針は基礎理論です。だから基礎理論を勉強させているのです。まれに利益衡量も出てきますが(処分性の「実効的救済」など)、これは例外的に必要とされる知識です。また、個別法の解釈を覚えている or 覚えていないで優劣出る作問をしてしまうと、「そもそも既存の行政法教育や、テキストはどうなんだ!」という大問題になってしまいそうです。

 え、こんな本もあるけど

重要判例とともに読み解く 個別行政法

重要判例とともに読み解く 個別行政法

 

  …という感じで、筆者も同書を持っていますが、同書の目的は個別法の解釈を覚えさせることにはありません。上記のごとく、行政法で暗記するのは基礎理論だけで良いのですが、「具体例=個別法!が無いと覚えづらいよね~」という訳で、個別法を紹介しているという訳です。という訳で長くなりましたが、筆者は個別法をまとめたり、ということは格別しませんでした。

 でも!過去記事で散々述べた通り、「個別法をひきながら、適用をイメージしながら、行政法判例を読む」ことは超ウルトラ重要ですから、そこのところはお間違え無く。です。

5.「趣旨から現場思考」について

自分も純粋未修なので非常に参考になります。(中略)最近ようやく典型論点について論じられるようになったのですが、初見の論点に対する処理がわかりません(今年の民事系第1問設問2のような)。よく趣旨から遡って規範を自分で立てると聞きますが、趣旨はその場で考えてるのか用意してるのか、そもそも勝手に規範を立ててよいのかといった疑問があります。なのでよろしければ、たすまるさんが初見の論点に対してどういったアプローチをしていたか教えてほしいです。

 純粋未修LOVEです。純粋未修がいかに辛いことかについて、文科省の委員会も共感して下さっているので、下記リンクの資料4を読んでみてください。

法科大学院等特別委員会(第94回) 配付資料:文部科学省

 同資料より抜粋

  • 未修者が初年度の1年間で既修者に追いつくことは相当に困難である
  • 法学未修者については、3年間の課程で司法試験に合格するのは極めて困難である

 泣けてきますね。ま、それはさておき、初見の論点ー趣旨から考えるー現場思考という受験界のテーゼについてのご質問です。これは非常に趣深い問題ですので、個別記事にします!というより、令和元年司法試験・民事系第1問設問2は、現場思考問題とは私には思えませんが…。ポイントとしては、そもそも「典型論点」と「初見の論点ー趣旨から現場思考が必要」にはっきり分けられるのか?分けるべきか?という問題があるように思います。

あとがき

 …という訳で、一気呵成に(ここまでで約30分)答えてみました。質問して下さった読者の皆さん、ご不明な点があれば追加でご質問下さい。共同執筆者の皆さんも、適宜ツッコミ下さい。

 なお、現在は、上記の各個別記事に加えて、「そもそも問題演習のやり方」「超初学者の学習スタート」についての記事を構想中で、「憲法の書き方」の改訂&続編も近日公開できると思います。