だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人。「純粋未修」で法科大学院に入学し、司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

司法試験に合格するのに必要な資質

 たすまるです。あまりにも投稿しなかったので、ブログランキングの順位が下がりまくっていたので(笑)久々に投稿してみます。
 よく、「司法試験に合格するためにはどんな能力/資質」が必要ですか?的な質問を戴きます。好きな四文字熟語は人類平等、脳みそ体育会系を自認する筆者としては

能力?資質?そんなもんは全ての人に平等だ!一に努力で二に努力、三四無くて五も努力に決まってるだろ!

と連呼し、実際にそう信じていたのですが、最近の出来事を通じて、「どうやらそれは間違っていたかもしれない…」と思い始めました。

 という訳で、久々の投稿が「司法試験に合格するのに必要な資質」という、極めて信じがたい精神論ですみません。

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新卒の学生に必要な資質

能力と資質の違い

 さて、私は司法試験合格直後に某一般企業に就職し、以来、法務とは名ばかりの何でも屋(営業、広報、人事、経営企画…)としてご愛顧いただいている(はず!)のですが、今年はなぜか新卒採用の一部を任せられています。ありがたや。

 見よう見まねで(いや、よく考えるとまねする対象もいない)オンライン説明会を開催し、学生にエントリーしてもらい、履歴書を読んで、面接をして… を繰り返しています。まず最初に考えたのが「えーと、そもそもウチの会社はどんな人が欲しいんだっけ」というごく当然のことです。
 しかし!ごく当然のことがなかなか定着・ルーティン化しない・できないのが中小企業!「なんとなく履歴書/面接の印象の良かった人」を採用してきたのが実情でした。

いかん!まずはどんな人が欲しいかが明確にわからなければ、人材の定量的定性的な評価はできないじゃないか!面接の合否の基準もできないじゃないか!

 …という訳で、「そもそもウチの会社≒っていうか、一般的な社会人にとって必要な「能力」って何だろう、と考え始め、重要そうなものを項目化し、面接時の印象を各項目にて採点する、というしくみを考えてみました。

 ※筆者がこういうデータ収集/整理/分析が大好きなことについては、下記記事もご参照ください。

 コミュニケーション能力、企画力、持続力、統率力、フットワーク、独創力… と、社会人として生きていく上で必要な能力はごまんとあります。が、よく考えてみると、(新卒の)学生がこれらの能力を有しているはずがない!日本の高等教育を甘くみんなよ、とこういう話です。

 そうしてみると、新卒として求められるのは、これらの能力を可及的速やかに身に着けられる、という資質です。ちなみに、能力=ability、資質/素質=qualityですが、ここでいう資質とは、どちらかというと可能性=potencialm、という意味合いです。

新卒も司法試験も変わらない

 そして、〇〇という能力を可及的速やかに身に着けられる、という資質は、司法試験に合格するのに必要な資質と大きな違いは無いように思います。結局は、「社会」や「法学」といった、自分とは異質のものから学び、適応するという資質だからです。

 では、この「学ぶための資質」には何が必要か、「要件」は何か、筆者なりに考えてみます。

好奇心ー失敗する力

 まず、ほぼ絶対に必要だろうな、と思えるのが好奇心ー他者への興味や関心です。これが無いと、社会(や、法学)へアクセスしよう、という気持ちにならないので、学習ーチャレンジして失敗し、反省するーの機会が失われてしまいます。

 では、好奇心を持つには何が必要なのか、と考えてみると、まず必要なのは、「社会(や、法学)って、自分と違っていて、すばらしい!」と思える他者を肯定する力です。「社会(や、法学)は最悪だ」と思ってしまうと、好奇心どころではありません。

 同時に、自己肯定力も必要です。自己肯定力が無いと、「社会(や、法学)って、すばらしいけど、自分なんかが関われるものじゃないな…」となってしまい、これまた好奇心どころではありません。要するに、自信があるー失敗を恐れないことが必要になってくるわけです。

 まとめると、好奇心ー他者肯定力と、自己肯定力を兼ね備えていることーが、新卒の学生さんに必要な資質であるように思います。

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 司法試験の受験に置き換えてみると、こんな感じですかね。意外と当たっているように思うのですが。

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探求心ー失敗から学ぶ力

 好奇心旺盛であれば、社会にせよ、法学にせよ、様々なチャレンジをすることができます。そのほとんどは失敗でしょう。そうすると、次に必要になるのは、失敗から学ぶ力ー一般的な用語法で言うと、「学習能力」です。これが無いと、永遠に失敗し続けます。

 では「学習能力」の内容は何なのか、考えてみると、これは結局「結果と原因を区別し、原因は何かを考え続ける力」ー探求心であるように思います。

  • 民法の定期試験の成績が悪かった(結果)
  • なぜ悪かったのか?ー時間が足りなくて途中答案になったからだ
  • なぜ時間が足りなかったのか?ー問1の典型論点の規範定立を、丁寧に書きすぎたからだ
  • なぜ問1の規範定立を丁寧に書きすぎたのか?ー問題全体の簡単な答案構成をやらなかったからだ
  • なぜ簡単な答案構成をやらなかったのか?ー問1が知っている論点だったので、嬉しくて飛びついてしまい、気づいたら長く書きすぎていた(原因)

  • 次回から、いかに簡単に思える問題でも、必ず最初に簡単な答案構成をやる(対策)

 …という感じですかね。皆さんやってるとは思いますが。とにかく、「なぜ?」を繰り返し、これに耐えることが必要なように思います。かのトヨタ生産方式で有名な「なぜなぜ分析」ですね。

なぜなぜ分析 - Wikipedia

 ある結果に至る原因は複数存在し、かつ、複数の原因が相互に影響を与え合っていることもある(複雑系)ので、このような「なぜなぜ分析ができる力」≒探求心があることはとても重要な資質であるように思います。

まとめ

 以上より、筆者の思うところ、新卒の学生さんにも、司法試験の合格にも必要な資質は、たった2つ、「好奇心」と「探究心」だけです。好奇心と探求心があれば、まーだいたいなんとかなります。学ぶから。なんて主観的かつ簡潔なまとめだろう。筆者の考えが正しいかどうかは全く不明ですが、とりあえず新卒採用は任せられてはいるので、採用試験の方向性は「好奇心と探求心があるか」をみる、ということにしています(笑)。

 このブログをわざわざ読んでくださる読者さんは、既に好奇心と探求心があるはずですので、後は努力あるのみ!頑張って下さい。