だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、平成30年司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

憲法の書き方2(保護範囲・制約)

令和一発目の投稿は、即位の諸儀式が憲法違反なのではないかと話題の憲法です!

※2019年5月2日 我ながらかなり分かりづらかったので、参考答案をつけてみました
※2019年7月16日〜 抜本的改訂を進めています

憲法答案の「内容」と「形式」

 さて、憲法の書き方、第1弾は、出題形式の「リーガル・オピニオン方式」への変更が何を狙ったものなのか、分析しました。結論としては、憲法答案に求められている「内容(What)」は、①判例の基礎的な理解≒射程の把握≒理由付けと利益衡量の要素の把握を示すこと、②水掛け論ではなく、論点が噛み合った議論を展開すること、であると考えられます。

 と、ここまで書いたところで、(立ち読みで済ませていた)憲法ガールⅡが家に届きました。同書の大島先生の分析によれば、リーガル・オピニオン方式の狙い(の一つ)としては、判例に即した客観的・中立的な求められており、判例学習の重要性がさらに高まっているのではないか、とのことです。筆者の分析もそこまで的外れではなく、だいたい正しそうであったことに安堵しました。

憲法ガールII

憲法ガールII

 

  第2回は、その「内容」をどう表現するか、という「形式(How)」について考察します。すなわち、型が定まっていないー他の教科と比べて大幅に自由度が高いと考えられている、憲法答案の書き方(というよりフレームワークー作法のようなもの)について検討します。そして、第3回がいよいよ「判例の使い方」の記事にするつもりです。→と思っていたのですが、書いていったら(いつも通り)冗舌過ぎたため、第3回は「正当化」、第4回が「判例の使い方」ですかね…

 なお、この「書き方」も、下記書籍に基づき構想した独自の見解なので、正確性はまたしても保証できません。例えば、憲法の流儀や、憲法の急所、等は(残念ながら)きちんと読んでいませんので、その内容・問題意識は反映できていないと思います。もっとも、定期試験も、司法試験もそこそこ良い成績だったので、それこそ「だいたい正しそう」ではあると思います。

憲法の独特さ

 さて、憲法答案の自由度の高さはいったいぜんたいどこから出てくるのかーと考えてみると、多分、条文の抽象度が非常に高い、ということにあるように思います。例として、「お客さんZの依頼により、彫師XがZの右腕にタトゥーを入れる」という行為について、刑法と憲法を比較して答案の流れを検討してみます。

刑法の場合

 Xの罪責如何!

条文選択

「タトゥーってなんだかんだ言って痛いしな」というわけで、割と素直に傷害罪の条文に到達することができます。

刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役…に処する。

(構成)要件該当性

 次に、条文の要件(構成要件)を順番に見ていきます。Zは「人」で、その右腕は「身体」だな。これは中学生でもわかりそうだ。「傷害」は解釈問題ですが、通説的には、人の生理的機能を侵害すること、とされています。まあ、タトゥーを入れると、感染や衝撃等から内部組織(筋肉・骨)を保護する、という皮膚の生理的機能が僅かながら侵害されることは認めざるを得なそうですから、タトゥーを入れる=傷害と考えても良さそうです。なお、上記の皮膚の生理的機能は適当ですので、お医者さんに聞きましょう。ここまでが「構成要件」というセクションですね。

正当化事由

 よっしゃ!構成要件に該当した!でも、有罪にして良いのかな。今回は被害者?のZさんの依頼だよね。自分の身体という保護法益を放棄してるじゃん。それに、タトゥーってファッションや自己表現の一環として、社会的にもそれなりの地位を得てるよね。被害者の同意等、行為(結果)の違法性を阻却する要件として設けられているのが違法性阻却事由(正当化事由)であり、その有無を検討するのが「違法性」というセクションです。

 最後に、責任阻却事由を検討して、いっちょあがり!とまあ、刑法の答案は非常にクリアかつソリッドな枠組みであり、受験生にとってはこの上なくありがたい学問と言えそうです。

憲法の場合

 Xは医師法違反で起訴された。あなたがXの相談を受けた法律家甲であるとした場合、憲法上の問題点について、どのような意見を述べるか、いかなる憲法上の権利との関係で問題になり得るのかを明確にした上で、参考とすべき判例や想定される反論を踏まえて論じなさい。

条文選択・要件該当性

 もう、ここから迷路がスタートします。や~彫師は「職業」にはあたるよなぁ。

22条1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 いやちょっと待て。Xは既に彫師だったから、職業「選択」の自由が害されたとは言えないんじゃないか。っていうか、タトゥーを彫る行為は、彫師Xにとっても、お客さんZにとっても「表現」にあたるのでは?

21条1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 うーん。どっちも当たりそうだ。どっちの順番から書くんだ。どっちを手厚く書くんだ。よくわからん。条文がわからんのだから要件にあてはまるかもわからん。あ!時間がない。まあいいや、とりあえず、職業選択と表現の自由が侵害されたことにしておこう。という感じで、「なんとなく」「だいたい正しそうな」条文選択(基本権選択)がまかり通っています。刑法でこんなにゆる~く構成要件該当性を認めたら、教員に烈火の如く怒られそうですね。

正当化事由

 ふぅ。公共の福祉により人権侵害が正当化されることがあるんだよな。で、正当化の要件は?これも実はよくわかってない。とりあえず、表現の自由は精神的自由で壊れやすい、超大事、よって厳格審査基準!ふーむ、そうすると、別に医師法違反で検挙しなくても、よりソフトな行政指導でなんとかなりそうだから(適当なLRAの創作)、違憲ではないか、と。

 翻って、職業選択の自由はどうか。これは一応経済的自由だよな。人格形成に資するから重要って話もあったけど、まあ、表現の自由とバランスとるために合理性の基準に切り下げとくか。そうすると、これもまあ国会(行政庁)の裁量かな。合憲。でも大丈夫、教授には怒られない。だって、表現の自由で違憲にしといたからね。

いったんまとめー憲法答案の自由さ

 割と、こんな答案になってしまう人は少なくないんじゃないでしょうか。筆者も最初はこんな風でした。そして、想定される答案の「型」も、①21条1項推し、②22条1項推し、③両方推し、に加えて、結論も④違憲、⑤合憲とあるわけですから、てんでバラバラ自由奔放となります。なお、タトゥーを施術されるZにとっては、自己決定権(13条)の制約ともなり得ますが、これについては、面倒くさいので割愛します。

 しかし、冷静に考えてみると、上記の様な答案は、クリエイティブという意味で自由なわけではなく、単に放し飼いにされて何が何だかわかっていないだけです。私なりの結論としては、憲法答案の自由度が高い、というのは単なる誤解に過ぎません。実際は条文選択・要件導出が難しいのでフワフワしてしまい、どこに何を書こうがまあいいや!自由に書いてやれ!となっているだけです。刑法答案の自由度が低い、というのと好対照です。常識的に考えれば、憲法も法なのですから、A適切な条文の摘示→B明確な要件の導出(規範定立)→Cあてはめをきちんとしなくてはならないことは言うまでもないわけです(下記記事も参照)。

 従って、憲法答案の「書き方」としては、まず刑法なり(別に民法でも何でも良い)を参考にして、マトモな要件あてはめ型の思考・書き方に戻す、というのが大前提です。第一に、条文選択、要件該当性という(刑法であれば)明確に判定すべきものを、フィーリングあるいは野生の勘で判定してしまう、というところを直す必要があります。

 第二には、全く同様に、正当化事由(公共の福祉)についても、なんとなくの要件(違憲審査基準)は出てくるのだけど、なぜその基準・要件になるのか、事案の事実から離れてフィーリングで決定しているため、結果的に要件事実が何かもわからず、あてはめも空想小説となるーというところを改善しなくてはなりません。

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保護範囲&制約セクション

保護範囲ー抽象的文言の克服

 では、どうやって刑法っぽく(民法っぽく)していくか。上記ではかなりボロクソに言いましたが、表記の通り、これはある種「しょうがない」問題でもあります。だって、タトゥーは表現だし、彫師は職業じゃん。どっちにもあたるじゃん。そもそも憲法の各条文の文言が抽象的すぎて、何でもあてはまるように見えるし。刑法各論はそんなことないし。というわけです。

 しかし、そうだとするならば、刑法が「傷害→生理的機能の侵害」という具合に条文の文言を具体化する解釈を施していることを参考に、「21条の表現とは、〇〇〇、△△△を言い…」と、抽象的文言を可能な限り具体的な要件に落とす解釈をすべきです。その上で、「本件Xのタトゥー施術はこれに含まれる」とあてはめれば、読んでいる方も「あぁ、確かにね」となります。と同時に、間違った条文を問題とするリスクも(当然)減ります。

 この、原告Xが主張する権利・法的利益がそもそも憲法上どの条文で保護されているのか、その要件該当性を論証するセクションがいわゆる「保護範囲(保障範囲)」と呼ばれるものです。条文の保護範囲に含まれるか、という意味のネーミングですね。上述の通り、刑法の構成要件該当性と同様の働きをするセクションです。

制約ー書かれざる構成要件

 次に、刑法と憲法では少し違う部分があり、刑法にいう構成要件該当性は、憲法では「保護範囲」と「制約」という二つのセクションに分かれます。なお、この「制約」という用語法についても、「制限」「侵害」等様々な呼び方がありますが、別にどれでも良いのでとりあえず「制約」にしておきます。さて、「制約」の要件あてはめが必要となる理由は別に難しいことではなく、ある種論理必然的なものです。つまり、刑法では

(条文には書いていないけど・主体たる人が)→ある行為をして→結果が発生する

 という形で条文が記載されているため、これを順にあてはめていけば構成要件該当性が認められる、ということになります。これに対して憲法は、

主体の権利を→保障する(=条文には書いていないけど・国家等の侵害から守る)

 としか書かれていないため、主体にはある権利が保護されている(保護範囲の問題)→それが制約された(制約の問題)という2つを検討しないと、要件該当性が認められないからです。要するに「制約の存在」が書かれざる構成要件要素みたいなもんですね。

保護範囲&制約の役割

条文・要件該当性の明示

 このような保護範囲&制約セクションは、第一に、刑法でいえば構成要件該当性の問題なので、当然重要であり、フィーリング・雰囲気であてはめをして良いはずはありません。保護範囲ー制約ー正当化における配点は3:1:6くらいのように思います。もっとも、受験生の多くが苦手としている保護範囲&制約を上手に書けば相対的に優位となり得るため、保護範囲&制約には50%くらいの配点があるという意識で書くと良いと思います。

 平成30年司法試験も、「いかなる憲法上の権利との関係で問題になり得るのかを明確にした上で」と明記しています。これは言うまでもなく、条文の保護範囲に入る権利が制約されていることを明示しろ、という意味ですから、司法試験委員も保護範囲&制約を重視していると考えられます。

 久しぶりに、駒村先生の「憲法訴訟の現代的転回」を読み直していたら、先生はこのことを保護範囲+制限論証の「違憲性発見機能」と名付けておられました(同書76頁)。うーんわかりやすい。筆者としては、できる限り要件→効果思考に引き戻すという観点から、単に「構成要件該当性(発見機能)」と呼びたいと思います。

 正当化事由への階段

 そして!保護範囲&制約セクションの第二の役割は、後に続く正当化事由のセクションへの「階段」となる、というところです。とても重要なところなので、敷衍します

 刑法の正当化事由(正当防衛等)については、上述の通り、解釈により明確な要件が導出されています。刑法各条等に定められている権利侵害もまた明確・限定的に定められているため、これを「ひっくり返す」正当化事由の要件も明確に決めやすい、ということでしょうか。少なくとも、刑法では権利侵害が傷害罪であろうが、強盗罪であろうが、正当化事由(正当防衛等)の要件は変わりません。

 これに対して、憲法の正当化事由ですが、そもそも憲法上の権利制約の有無が、一見すると外縁があいまいー保護範囲&制約セクションで導かなければならないようなものーである故に、その制約の正当化事由もある程度フレキシブルなものにならざるを得ません。

違憲審査基準論

 そんなんじゃ困る!法的安定性が害される!裁判官の主観的判断で憲法上の権利の内容が決まってしまうやないか!という問題意識から、アメリカ憲法学を模範として積み上げられてきたのが違憲審査基準論です。同論の基本的な考え方は、憲法上の権利制約を類型化し、これに対する正当化事由の要件も審査基準として類型化していこう、というものです。

比較衡量(比較考量)論

 一方で日本の最高裁は、少なくとも、明示的には違憲審査基準論を採用していません(と、千葉勝美裁判官はおっしゃった)。日本の最高裁は、事案に応じて柔軟な比較衡量を行ってきたのである、と。

受験生がやらなければならないこと

 じゃあ受験生はどうするの、という話ですが、結論から言うと、違憲審査基準論でも比較衡量論でもどちらでもOKです。初学者の段階では違憲審査基準論一本やりが書きやすく、学習が進めば、比較衡量論も取り入れると良いと思います。しかし、少なくとも、違憲審査基準論も比較衡量論も同じく採用する考え方だけは書いておく必要があります。それが、権利侵害の類型化≒事案に応じて、という部分です。

 いずれの考え方でも異論がないのは、重要な権利に対する強度の制約であれば、その分、それが正当化される要件(審査基準 or 比較衡量における重み付け)は厳しくなる、ということです。

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 不法行為法における相関関係説のような理解ですね(不法行為の教科書参照)。「制約される権利の重要性」とは権利の「質」の問題なのか、それとも「量」も含まれるのか?そもそも制約される権利が重要なものなら、制約の強度など関係なく審査基準を引き上げるべきではないのか?など、色々な議論はありますが、とりあえずこの公式は頭に置いておいた方が良いです。

 保護範囲&制約セクションは、①どういった権利が、②どのように制約されているか、を明らかにするセクションです。すなわち、「正当化事由の要件をいかに解するべきか」の前提を整理しておく、という役割ーホップ・ステップという階段のようなものーがあり、それ故に、刑法とはまた違った重要性があるということです。

 これまた駒村先生によれば、「審査密度設定機能」とのことです。筆者としては、「正当化要件設定機能」と呼びたいと思います。

立法府・行政庁の裁量

 なお、上記の図でいうと「裁量の有無・広狭」はどこで検討するの?、要件にどう影響するの?という疑問があるかと思います。これについては、色々と難しいところがあり(適当…)、権利侵害の該当性/重要性&制約の強度、の評価がきちんと出来るようになった後の発展的事項と考えて下さい。また、別の機会に記事にしたいと思います。

 ちょっとだけ触れておくと、メーガン法(性犯罪者の再犯を防止するためにGPS腕輪等の装着を義務付ける法律)が良い例でしょうか。
 GPS腕輪等の装着義務は、プライバシー権・移動の自由といった自己決定権に対する著しい制約となります。しかし、「被害の再発という重大な損害を予防するため」という予防原則に基づく裁量や、「再犯可能性の算出には専門技術が必要」という専門技術的裁量を強調しまくると、途端に、じゃあ正当化の要件は緩くてOK!合憲!となってしまうことになります。
 いや、ちょっとそれは話が簡単すぎる。こんな論理だと、高度な裁量が必要な立法・処分は軒並み合憲ということになっちゃうじゃん。という訳で、「裁量」をどう評価し、どのように位置づけるかについては「とりあえず」発展的事項としておきます。

小まとめ

 とりあえず、ここまでの理解を図にします。いや~本当は「正当化」まで行くはずだったんですけどね。なお、本稿はかなり抽象的な議論だったので、「おい、具体的な書き方を示せ」とお思いの読者の方も多いとは思いますが、多分、第4回で答案例的なものも付記していきますので、ご容赦のほどを。

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答案の枠組み

 …と思ったのですが、改めて読み返してみると(筆者は、一応、記事を書いた後は数時間置いて読者のつもりになって読み返す習性があります)、異常に分かり辛い。と言うわけで、以上の保護範囲&制約論を踏まえた参考答案のだいたいの枠組みを書いておきます。なお、憲法13条については、非常に重要な論点ではありますが、紙幅の関係もあり、割愛します。

第一 憲法21条1項

1. 本件でXを医師法違反で処罰することにつき、Zに保障された表現の自由(憲法21条1項)の制約が問題となり得る。

2. (1)憲法21条1項は、「その他一切の表現の自由」を保障する。タトゥーは、文言や装飾的なイラスト等、他者に対する何らかのメッセージ性を有するものを彫るのが通常であるから、これが「表現」にあたると考えられる。

 タトゥーは被施術者の皮膚を傷つけるものであり、その意味で加害を伴う。しかしながら、加害を伴う故に直ちにこれを「表現」としての保護範囲外とすべきではない。判例では、同じく加害を伴う名誉毀損やプライバシー侵害が憲法21条1項の問題として扱われてきた(夕刊和歌山事件大法廷判決)。タトゥーの施術が「他者加害」でなく「自己加害」であることに鑑みれば、その自由が憲法21条1項により保障されることは明白である。

(2)自らの望むメッセージ性を有するタトゥーを自ら彫ることが非常に困難であることからすれば、タトゥーの施術者と、タトゥーの被施術者の表現の自由を個別に捉えるべきではない。タトゥーとは、施術者と被施術者のコラボレーションによる表現とみるべきであり、Xを医師法違反で処罰することは、Zの表現の自由を制約する。

(3) そして、表現の自由の保障が、多様な言論の確保による民主政の基礎をなすこと、及び民主政による回復が困難であることに鑑みれば、その権利制約が公共の福祉(憲法13条後段)により正当化されるかについては、慎重に審査されなければならない。

3. もっとも、医師法の目的は、適切な医療の実施により国民の健康を保持・向上することにあると考えられ、タトゥーによる表現行為を直接の規制対象としているわけではない。そういった意味では、医師法の適用によるタトゥー施術行為の規制は、あくまで間接的・付随的制約とみることができる(猿払事件大法廷判決)。

4. 正当化

第二 憲法22条1項

1. 次に、Xの処罰は、Xの職業選択の自由(憲法22条1項)の制約も問題となり得る。

2. タトゥーの彫師が「職業」に含まれることは明らかであるが、医師法は一定の「行為」を処罰対象としているに過ぎないから、「選択」が害されたかは問題となり得る。

 しかし、判例は職業遂行ー営業の自由をも22条1項の保護範囲に含めており(小売市場事件大法廷判決)、かつ、薬局の適正配置規制でさえ「実質的には職業選択の自由に対する大きな制約的効果」として手厚い保護を認めている(薬事法大法廷判決)。これら累次判例に照らせば、タトゥーの施術を規制することが、職業選択の自由を害することは明白である。

3.  医師法による処罰は、上記と同様、医師法本来の目的との関係では間接・付随的制約といえる。しかしながら、「職業選択」という事前規制であること、タトゥーの施術という彫師の本来業務を全面的に処罰対象とするものであること、刑事罰が課されること、刑事罰が課されれば以後彫師という職業の遂行はほぼ不可能となることに鑑みると、その制約は非常に強度のものと言うことができる。

4. 正当化 …

 こんな感じでしょうか。やや冗長ですが、第4回で詳述する(予定)判例のハシゴー使い方を強調するために敢えて引用しまくってみました。しかし、こうしてみると、やっぱり大法廷判決は重要なんですね…。自然にたくさん登場します。なお、「保護範囲」とか「制約」みたいなタイトルは、①読む人が読めばわかる、②なんかかっこ悪い、という適当な理由から、筆者は付していませんでした。