だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人。「純粋未修」で法科大学院に入学し、司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

過去問の取り組み方・回し方

 こんにちは、たすまるです。最近「過去問はどうやって回しましたか?」的な質問が多くあったので、まとめて回答するために記事にしてみました。

過去問学習の必要性

 さて、なぜ過去問学習をやるのか、という必要性の問題ですが、これは2500年くらい前に孫武先生が明らかにしてくださってます。

 「知彼知己、百戰不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戰必殆。」自分の実力は把握していても、相手の実力が把握できていなければ、戦争=バクチです。自分と相手の実力が把握できていれば、百選して危うからず、ってやつですね。司法試験は戦争ではないので、把握すべきは相手の実力というより、相手の気持ちー司法試験委員会による出題趣旨です。

 そして、自分の実力と、出題趣旨とのギャップを測り、調整するために最適の学習が、過去問に取り組むことです。これを上回る学習方法は(原則として)無い、と筆者は考えています。①有名な教授や講師の講義を受講することも、②ロースクールの定期試験や予備校の模試で好成績をとることも大切です。が、いかに自分の実力をつけても(①)、それが相手に伝わらなければ意味がありません。また、実力を伝えるべき相手は、ローでも予備校でもなく、司法試験委員会です(②)。

 そういった意味では、過去問の学習は、司法試験合格のための学習の中で最重要といえるものです。もっとも、上記の過去問学習の本来の効用を引き出すため、過去問学習をいつ(When)どのように(How)どれくらい(How much)やるべきかは難しい問題です。筆者の考えるところによりますと、過去問学習の目的、目的に沿った取り組み方は、学習の進度(ステージ)によって全く異なるものですので、本記事で検討したいと思います。

初学者~勉強1年目の人

目的ー危機感の醸成

 この段階では過去問学習に手を出す人は少ないと思います。基本的には、それで良いのだと思います。しかし、この段階でも過去問を解くことには意義があります。それは、彼我の圧倒的実力差を知り、超やばいという危機感を醸成することです。

 この段階で過去問にチャレンジすると、司法試験委員会が求めている知識・能力と、自分の書いた答案(のようなもの)との圧倒的な差に愕然とすると思います。というより、そもそも相手の気持ちー出題趣旨さえ満足に読めず、言っていることもよくわからないかもしれません。筆者も、学習初年度に司法試験の過去問題を解いた時は、点数換算すれば0~10点くらいしかとれませんでした。絶望し、心が折れそうになるでしょうが、それこそが司法試験に合格するために必要なファースト・ステップです。やっぱり、人間はある程度の危機感「も」無いとモチベーションが維持できないように思います。筆者のような怠惰な人間は特にそうです。学習にとって「意図的な外圧」が有効なことにつき、過去記事も参照してみてください。

 司法試験の学習を開始してしまった以上、いつかは司法試験を受けなければなりません(笑)。そしてそれは、早ければ2年後、普通は3~4年後に確実に訪れます。怖い怖いと思っていつまでもドアを開けなければ、決して目的地に到達することはできません。清水の舞台から飛び降りるつもりで、チャレンジしてみてください。

取り組み方ー重すぎないように

 上記の通り、この段階での学習目的は「危機感を持つ」という程度なものなので、本格的に過去問に取り組む必要はありません。というより、後述の通り、本格的に過去問に取り組む実力もありません。具体的には

  1. 2ヶ月に1回程度
  2. 法務省:司法試験の実施についてから、無作為に1問選んでダウンロード&印刷

  3. 一人で
  4. 本番と同様、2時間をきっちり守って起案してみる
  5. 出題趣旨等の意味はほとんどわからないとは思うものの、①疑問点のうち1つは基本書で自分で解決し、②もう1つは成績の良い友人か先輩に聞いてみる

という程度で良いと思います。それぞれのポイントにつき、少し付言しておきます。

 まず、1.につき、年間に5,6問も解けば十分絶望できると思います。2.につき、教材を購入して本格的にやるまでもありません。過去問は公共財でタダなので、積極的に利用しましょう。3.&4.は重要で、危機感をより大きなものにするため(笑)、本番のレギュレーション通りにやってみた方が良いでしょう。

 4.はとても重要です。この段階では、彼我の実力差が大きすぎて、「出題趣旨を全部わかろうとするインプット」は重すぎ、効率が悪くなる可能性があります。具体的に言いますと、過去問1問を分析するために3日間くらい過去問につきっきりになってしまう、ということが起こりかねません。というより起こるでしょう。かといって、全く復習しないのも少しもったいない気もします。自分の学習方法を確立する、という副次的な目的のためにも(過去記事も参照)、1論点くらいは自分で考えてみる(①)、できる人はできるんだな、ということを確認する(②)ことは有益だと思います。

 なお、出題趣旨「等」としていますが、この段階では採点実感を読む必要はありません。その理由は後ほど詳述しますが、そもそも出題趣旨もよーわからん、という状態なので、さらに実践的な採点実感を読むことは不可能でしょう。

勉強2年目~予備試験準備の人

目的ーインプットの穴を埋める

 勉強も2年目となり、予備試験の合格、とまでは言わなくてもその受験がある程度見据えられるような段階です。ここまでくれば、出題趣旨等の言っていることもボチボチわかるようになり、点数も10点~30点くらいとれるようになっているはずです。まだ当然不合格の水準ですが。

 さて、巷間「過去問を回す」と言われますが、そもそも「回す」ってなんだ。いろんな語義がありそうですが、多分、①連続的に、②複数回、過去問を解くということのように思います。しかし!この「過去問を回す」学習方法が自分にとって効率的なモノとなっている人は、ほとんどいない(70%以下)ように思います。というより、逆説的ですが、「過去問を回す」ことが効率的にできている人=合格が現実的な30%の人、です。

 このことについては、Takumi-Aikawa先生がブログで詳述されていますので、ぜひ読んでみて下さい。私の超長い駄文よりはずっと読みやすいです。

【来年以後の受験生の方へ】過去問学習は「格差社会」 | テクニカルに司法試験を突破するブログ

 同記事の「十分な基礎学力の重要性」の部分以下が、筆者の特に言いたいことです。基礎的な事項についての理解が十分でないと、出題趣旨が一読了解できません。出題趣旨が一読了解できないと、1つの過去問に取り組むー解いて、分析するーために多大な時間を要するようになります。多大な時間を要するのでは、後述の「過去問を回す」ステージには進めませんし、「回す」ことの効用を十分に得ることができません。

 従って、この段階では、半年~1年後に「過去問を回す」ことができるような準備ーインプットの穴を見つけ、どんどん埋めていくことが過去問学習の目的です。具体的な基準としては、基本書を開かなくても、出題趣旨の言っていることがだいたいわかるようになる、ということです。

取り組み方ー基本書無しで出題趣旨を読む

 この段階も、前段階と同様、「過去問を回す」という本格的段階では無いので、回数は多くなくて良いでしょう。むしろ、出題趣旨は変われど、出題趣旨が当然の前提としている基礎知識は変わらないので、何年分かの出題趣旨が基本書無しで読めれば、どの年度の出題趣旨も基本書無しで読めるはずです。

  1. 2ヶ月に1回程度
  2. 法務省:司法試験の実施についてから、無作為に1問選んでダウンロード&印刷

  3. 一人で
  4. 本番と同様、2時間をきっちり守って起案してみる
  5. 出題趣旨を基本書無しで読み込み、わからない部分があったら、基本書で腑に落ちるまで復習する

 前段階とは、5.が違うだけです。出題趣旨が何を書くことを求めているかを丁寧に追っていきます。半分くらいは「はいはい、そうですね。わかります。でも書けませんでした」となるはずです。残り半分くらいは、「は?そんな論点知らなかった」という場合があり得、これがインプットの穴なので基本書に戻って復習します。

 なお、出題趣旨は基本書無しで了解できなければなりませんが、①百選や②まとめノートをお供に読むことは問題無いと思います。①については、この段階で百選解説の枝葉末節まで読み込んでいることは現実的でないからです。②については、基本書まで戻らなくても、まとめノートに戻ることで確認できれば、効率が良いからです。というより、出題趣旨で問題とされている論点が全て、すぐに確認できる(かつ200頁前後!)まとめノートは非常に優秀ということができます。

自主ゼミについて

 3.について、この段階では複数人による「自主ゼミ」の効用は小さいと思います。他人と議論すること自体は法律の学習にとって有益です。しかし、各人のインプットのレベルがあまりにも開いた状態で自主ゼミ方式で取り組んでも、「この論点知らなかったの?基本書読んだ方がいいよ」となるだけで、効率的ではありません。目的はインプットの穴を埋めることにあり、基礎的事項の一応の基準値が出題趣旨ですから、一人で取り組んだほうが効率的でしょう。

 

勉強3年目~司法試験準備の人

目的ー実力と出題趣旨のギャップを埋める

 ついに念願の、「過去問を回す」ーTakumi-Aikawa先生の用語法では、加速度的に取り組むーステージに到達です。入念に2のステージに取り組んだ方であれば、冒頭に述べた過去問学習の本来の目的ー自分の実力と、出題趣旨とのギャップを測り、調整することにやっと取り組むことができます。

取り組み方ー司法試験に慣れる

 この段階では、基本的なインプット&アウトプットの訓練は終わり、過去問学習こそが勉強のメインとなっているはずです。

  1. 1日1起案、もしくは集中的に1日2起案
  2. 司法試験論文過去問答案パーフェクトぶんせき本〈平成30年度版(2019年対策)〉を購入する

  3. 一人で 又は 自主ゼミで
  4. 本番と同様、2時間をきっちり守って起案してみる
  5. 出題趣旨当てクイズをする
  6. 優答による論証集の改訂をする

1. 起案の回数と時期

 学習に限らず、「場慣れ」することは大切です。司法試験の2時間1本起案が「習慣」になっていれば、精神的にも肉体的にも、当日はリラックスして試験を受けることができます。そういった意味で、習慣的に毎日起案するか、夏休み等に自主ゼミで1日2起案することは有益だと思います。もちろん、他の学習に支障が無い限り、です。

 筆者は、3年次の6月(司法試験1年前)~9月、1日1起案 or 1日2起案する自主ゼミ(未修2人・既修2人)を組み、6科目×12年分を起案しました。重要(と自分たちが考える)問題は、複数回ときました。というような記憶ですが、不正確かもしれません。そこのところは共同執筆者で自主ゼミメンバーだったありまるくんがコメントなりで補足してくれると思います。

 一応、どの年度の問題を何回解いたかは、記録をとっていました。

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 ●印は、後述の出題趣旨クイズ等の結果、自分としては重要だと考えていた問題で、これらは複数回解いてます。計136回も解いてるんですね。とはいえ、上記の1,2ステージをきっちりとやってこれば、1回の起案・分析にかかる時間は3時間以内となるはずなので、それほど負担もありません。知財法の起案回数が残念すぎますね。その結果が60点です。いや、むしろよく60点とれたな。

2. ぶんせき本のススメ

 私は、王道のこの本をつかっていました。

司法試験論文過去問答案パーフェクトぶんせき本〈平成30年度版(2019年対策)〉

司法試験論文過去問答案パーフェクトぶんせき本〈平成30年度版(2019年対策)〉

 

  後述しますが、大切なのは超優秀答案が載っている、というところです。本書には、講師の先生方による丁寧な解説も掲載されています。が、さんざん述べてきたように、「そもそも出題されている論点が基本書無しではよくわからない」という状態であれば、ステージ1か2に戻って、過去問学習よりもインプットをきちんとやった方が良いのです。私は全年度のぶんせき本をヤフオクで落札しましたが、解説は全く読んでいませんでした。

 じゃあ、司法試験ホームページからのプリントアウトでも良いじゃん、となりそうですが、本書には超優秀答案が掲載されており、それが後述の通り学習に役立ちます。

5. 出題趣旨当てクイズ

読解力の養成

 過去問を回すことによる狙いのうち最も重要なのが、この「出題趣旨当てクイズ」です。出題趣旨を読んで一読了解できることは当然必要ですが、それを超えて、試験当日は「どういう事を書けという誘導かな?どういう出題趣旨かな?」というように出題趣旨を当てにいかなければなりません。この、読解力が最も重要、というより受験生の最大の弱点、という自説については、下記記事を参照。

 というわけで、上記記事と同様に、「何を書いて欲しいのかな~」等とワクワク考えながら、起案します。起案が終わったら「出題趣旨当てクイズ」の答え合わせです。これは非常に簡単な作業です。答案を右に、ぶんせき本を左において出題趣旨のページを開き、書けなかった論点=拾えなかった出題趣旨にマーキングしていくだけです。①70%以上の論点が書ければ、まあまず合格。②70~50%ではギリギリ落ちる。50%以下だと、望み無し。というのが私の勝手な肌感覚です。

クイズ結果のフィードバック

 このクイズ結果を学習にフィードバックします。とはいっても、落とした論点を丁寧に復習するのは(本来は)ステージ2の作業なので、ほどほどで良いでしょう。

 大切なのは、何故か空気が読めなかったー誘導に乗れず、出題趣旨を読み誤ったー問題の抽出です。まず、1回目の起案から70%以上を拾える問題は、もはや複数回やる必要もありません。1回目の起案で70%以下しか拾えなかった問題は、必ず期間を1ヶ月位開けてもう一度解きます。

 この段階で、チェックです。①2回目の起案で70%以上拾えたとしても、1回目の起案で落としたのが重要論点で配点も高そうな場合、②2回目の起案でも70%拾えなかった場合は、上記の●印重要問題として、さらに3回目の起案をやりましょう、という訳です。

6. 優答による論証集の改訂

 冒頭に述べたように、いくら出題趣旨が把握できても、マトモな日本語&法的三段論法で司法試験委員会のお気持ちに応えないことには1点も入りません。というわけで、出題趣旨当てクイズ(≒読解力)に次いで重要なのが、優答、すなわち司法試験委員会のお気持ちにビシッと応えた答案から、優れた言い回し(主として事実の評価や、理由付けの短縮化に表れます)をパクるいや、参考にして論証集を改訂する作業(≒表現力)が必要となります。超優秀答案が掲載されているのが「ぶんせき本」の優位性です。論証集(まとめノート)のブラッシュアップについては、下記記事もご覧ください。

 たまに、天才的な言い回しを発見し、興奮しますが、そのうち50%位は民訴の高橋先生や、刑法の山口先生、憲法の大島先生の言い回しだったりします(笑)。

3. 自主ゼミについて

 さて、上記の4.&5.はいずれも一人でできる作業です。よって、実は「過去問を回す」のに自主ゼミは必要ではない、と筆者は考えています。

 もっとも、ステージ2を経てインプットのレベルもある程度そろってくれば、①基本書で代替可能な会話は飛び交わないこととなり、起案→分析の合計時間もグッと短くなってきます。また、②実際に同じ目標に向かって努力するライバルがどれくらい出題趣旨を当てられており、どのような表現で応えているかをすぐに確認できることも有益です。加えて、③3.のように大量の起案をする、ということ自体がかなり自己管理のできた人でなければ難しいので、自主ゼミで半ば強制的に起案させられるのはこれまた有益です。
 というわけで、①低コスト<②③高パフォーマンスと筆者は判断し、自主ゼミをやっていました。というより、自主ゼミという勉強法のコストパフォーマンスが合うのは、この「過去問(か模試)の集中起案」しか無いのではと思います。反対に、ダメな自主ゼミは10秒くらいで見分けがつきます。起案後の分析で、一般的な基本書を読めばすぐに了解できる内容の議論を戦わせていたり、そもそも2時間の起案の分析に2時間以上かかっていたりする場合です。

 この自主ゼミは、(ありまるくんにとってはどうだったか知りませんが)筆者には非常に役立ちました。

番外編 採点実感と一応の水準の答案

 上記の筆者の説明には、「出題趣旨」はクドいくらいに出てくるものの、「採点実感」は全然でてきません。また、「優秀答案」は出てきても、「一応の水準(C~Dのことか?)の答案」は出てきません。という点につき、疑問に思う読者もいらっしゃるかもしれませんので、とっくの昔に自主規制値5000字を突破しておりますが、一応の追記を。

 採点実感と一応の水準の答案例を読む受験生の目的は、「どの程度のことが書ければ合格水準に達するのか」を知ることにあるのだと思います。その気持ち自体は痛いほどわかります。しかし、以下の2点から、筆者は採点実感&一応の水準の答案例は全く読んでいませんでした。

出題趣旨という高い目標を目指す

 出題趣旨は試験直後・採点前に出されるもので、「受験生にはこういうことに応えて欲しい」というお客様たる司法試験委員会のニーズを100%全力で示すものです。当然、これに100%応えることは現実的にはほぼ不可能、という高い目標です。これに対して、採点実感は採点後に「採点してみたけど、合格者を出すとしたらこれくらいの水準にしなきゃな…」という出題者の反省も踏まえた、現実的な妥協策です。高い目標を掲げて努力するからこそ、現実的な妥協ができるのであって、最初から現実的な妥協策を念頭に置いていたら中国企業にボロボロにされるぜ!ということを筆者は先月学びました(笑)。とにかく、原則として、目標は高いほうが良いと思います。

一応の水準が理解できるか?

 次に、これはかなり毒舌となるので読み飛ばしてもらって結構ですが、そもそも「合格ライン前後で戦っている受験生」が「一応の水準の答案」が、なぜ一応の水準とされているのか、判断要素は何か、について理解できるのか、筆者には謎です。

 出題・採点する大学教授、実務家や、分析・講評する予備校講師は十分な知識があり、出題趣旨の問題意識を100%理解できるからこそ、採点実感を読んで「ああ、これが一応の水準か。この要素は不可欠とはしなかったんだな。」と理解することができると思います。そういった意味で、採点実感は主として教育者のための情報ではないか、と思います。

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 これに対して、多くの受験生は、知識の総量が足りず、出題趣旨の問題意識を100%理解できない、だからこそ合格ライン前後で戦っているのです。「これが一応の水準ね」と言われても、その理由が正確に把握できるわけがありません。もちろん、努力すれば一応の水準の答案例を一応の水準とならしめている要素については、分析・理解は可能です。もっとも、そんな作業は教育者がすべきであって、学習者である受験生にそは不急のものです。

 そんな暇があったら、出題趣旨当てクイズ&優答による論証改訂で、高い目標を目指す方がむしろ近道のように思うわけです。

番外編2 旧司法試験の過去問はやるべき?

 これについては、過去記事に対するコメントで触れましたので、ほぼコピペします。手抜きですみません。

 結論から言うと、旧司法試験問題を解くことは、「有益だが必要ではない」と思います。

 まず、司法試験に出る論点は、先端的・応用的に見えるものの、原則を踏まえればそれ相応の結論は出せるー基礎的知識を問うものがほとんどです。 基礎的知識を問うのですから、(表面的にはどうであれ)旧司法試験と大して変わらないー焼き直しになるのは、当然です。 というわけで、旧司法試験問題に取り組むことは非常に価値があるー有益です。

 ただ、これまた当然なので理由付けは割愛しますが、新司法試験の過去問の方が、旧司法試験問題よりさらに重要です。特に、過去記事でも触れましたが、「問題発見(問題提起)」と出題趣旨の把握ー読解力を身につけるには、新司法試験過去問にまず取り組む以外の有力な方法がありません。従って、新司法試験過去問を全年度×2回、重要な問題については3~4回程度解くことが先決です。→言い放っておいて、筆者は解いていなかったことが上記で判明しましたが…

 とてもじゃないが新司の過去問でC答案に達してもいないー過去問を回すことで読解力を身につけられていないータイプの友人が、「苦手を克服する」等の誤った動機で旧司法試験の問題を解こうとしているのをみて、「やーそれ、逆に効率悪くないかな…」と良く思いました。→毒舌 

 私自身は、①そもそも新司法試験の過去問を(自分が納得するほど)満足に回していなかった、②旧司法試験問題は(上記の通り)有益だが必要とは思わなかったため、腕試しで数題解いただけで、ほぼ全く触れませんでした。 とにかく、最高の勉強法=最適の勉強法なので、解いても、解かなくてもどちらでも良いと思います。