だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、平成30年司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

筆者の勉強史と予備校の利用について

どんな勉強をしてきたか

 特に受験生には興味がある「どんな勉強を、どれくらいやってきたか」がわからん、というご指摘がありました。という訳で、非常に簡単ではありますが、筆者の勉強の歴史をお伝えします。なお、自分の経歴は、とてもマジメな口調で綴れる代物ではないため、テキトーな文体にしてあります。

法科大学院入学まで 

~中学生

 よくある話だが、小学校時代はテストは全て100点、神童扱い。父親が化学者(研究職)だったので、家に大量の本があったのが理由と思われる。塾等には一切通っておらず、この時に塾嫌いがほぼ確定した。中学受験も一瞬考えたが、某地方都市に引っ越してきたばっかりだったので、状況がよくわからず、地元公立中学校に進学。

~高校生

 中学校で、とりあえず不良になる。尾崎豊一歩手前の世界。体制に反発してるとモテる、と考えたのが理由と思われる。勉強はというと、チャレンジ(ベネッセの通信教育)の漫画に過度の影響を受けた。独自独特の勉強法で、中学校入学一発目のテストで良い成績をとり、そのままずっと良い成績をキープという感じ。特に勉強はしなかったので、親が心配し、地元の学習塾に入ることに。ここはスパルタだったので、人生で初めて一所懸命勉強させられた。思えば、塾はこれが最初で最後だったが、良い経験だった。

 成績はとても良かったが、いかんせん不良だったので、通知表はボロボロに。公立高校にはとても行けない状態になったため、泣く泣く私立中高一貫校の高校からのコースの試験を受け、入学。人生初の試験だが、競争率10倍・平均点50点くらいの試験でかなり難しかった。当時影響を受けたのは、こんな本である。名著ですね。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

 

~大学生

 高校生でも、引き続き不良。勉強も、ついに小学校時代の貯金が尽き、400人中380位前後と低迷。大学受験もほぼ諦めていたが、当時付き合っていた彼女が東京の大学に行く、というので高3の夏に一年発起(遅い)。英語だけ偏差値が50以上あったので、3か月間死にもの狂いで勉強し、これを70以上に上げて、英語1科目入試で首都圏の某私大に合格、入学。なお、数学は全くダメで、現国だけそこそこできた。

 まあ、今から思えば、1日6時間×90日間勉強しただけだったので、大したことはなかった。写真のちょうど中央のやや金髪が、高校時代の筆者である。残念な感じである。

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~社会人

 当然、全く勉強しない。大学では日々楽しく遊び留年。成績は極悪。この頃読んでいたのは、こんな本。野望は大事である。

野望の王国 完全版 1

野望の王国 完全版 1

 

  就職活動では、運良く最初の1社目で在京のマスコミに内定。倍率的にはこれが最も難しい試験だったような。会社では日々忙しく働いた。楽しかった。諸事情により法科大学院入学を思い立ったが、何も準備はしなかった。適性試験?は200点くらいだったかな…。

 某地方国立大学の未修者コースに合格後、

法科大学院で何を学び、司法試験をどう突破するか

法科大学院で何を学び、司法試験をどう突破するか

 

 を読み、「うおぉぉ、これはまずそうだ」と感じて、公立図書館に半月ほど籠って芦部先生の 憲法 第七版(の旧版)や、河上先生の民法学入門―民法総則講義・序論なんかを読んだ。当然、サッパリわからなかった。

法科大学院1年前期

 非法学部出身、いわゆる「純粋未修」は筆者ともう1名のみ。もう1名も、すぐに退学。しかも、唯一の社会人経験者&家庭持ち。というひたすらアウェーな状況だった。

  あまりに法学を知らなかったため、入学後1ヶ月くらいは、「な~んでみんな紙の六法なんか持ってるんだろう。時代遅れだなぁ」と思いつつ、CD-ROM版の判例六法で学習していた。今から思えば凄すぎる。

 とりあえず、現役上位合格を目標にしていたので、奥さんと「ロー上位20%の成績を取れなかったら即退学」というハードコアな契約を結び(下記記事参照)、毎日15時間は勉強。同時に、塾講師のアルバイト+自宅での学習塾開催により糊口をしのぐ。やはり体が資本、体力は大事である。 

 勉強内容は、「善意って何!?」「第三者って、ふつーに読んだら、当事者以外ってことじゃん!」とか呟きながら、ひたすら基本書を読み、参考文献を全部読む、という(ダメな意味で)ありがちな勉強スタイル。「問題演習やりたいけど、知識が無さ過ぎて全然無理!」という(ダメな意味で)ありがちな言い訳。

 この頃の勉強法は、全てがダメダメで、本当にタイムマシンがあったら戻りたい。半年無駄にした。唯一良かった勉強法は、「全ての課題(演習問題のレポート等)は、一番早く出す」というもの。やっぱり、知識の無い者ほど、全ての作業を先行して終えていかないと、色々な意味で後手に回る。

 結果的に、GPA2.2(中の上)。退学の危機が迫る。

  • この頃の勉強量・15時間/日
  • この頃の勉強の割合 講義の予習6:復習1:自分のインプット1:問題演習2

法科大学院1年後期

 夏休み中に(ひとりで)大反省大会をする。何をやっても良いが、とにかく結果が出ないのはダメだ。後期は、死んでも学年1位をとるべし。このあたりが、社会人経験者の「謎の気合い」という強みである。

 勉強時間を増やすために塾講師のアルバイトはやめる。そして、方法を見直す。でも、見直す。と言ってみても、見直し方もわからない。というわけで、サイトで情報収集(下記記事参照)。最も効果的だったのは、お手本を見る、ということ。

 同期で最優秀の男子(仮にT君とする。もちろん彼は一発上位合格した。)に声をかけ、定期試験の答案を見せてもらう。当時の感想「こんなに少ない分量で得点俺の2倍か!」「…よくみたら、これって数学の答案じゃね?」。

 それ以後の勉強の目標はシンプルで、「T君のような答案を書けるようになる」というただ一点。そのために必要な作業を選び出し、工程表?チックなもので管理しながらたんたんと自学自習した(下記記事参照)。

 勉強時間の8割は自学自習である。残りのうち1割は、T君と教授に質問に行っていた。相手の答え方(法的論証のやり方)を見て、盗むのである。やはり、外国語を勉強するには、外国人と話すのが一番だ。
 もう1割は、(自分よりさらに)勉強が遅れている同期に、「指図による占有移転と即時取得」とか、「誤想防衛のブーメラン現象」みたいな、いかにも説明がめんどくさそうな解釈論を、なるべく簡潔に教える、というもの。半学半教。他人にわかりやすく・短く教える、という作業は記憶を定着させ、論証力を向上させる。法律学習に必須の要素だと思う。

 なお、地方ローの未修コースは、学生の意欲・学習量がてんでバラバラなので、自主ゼミは原則として効率的でないように思う。毒舌になるが、(自分も含めて)レベルの低い人同士が喧々諤々やっているくらいなら、さっさと教授や実務家教員に質問に行った方が、効果的である。

 結果として、GPA1位!となった。退学回避。が、これまた社会人独特の「対上司おべんちゃら能力≒教授の空気読む能力」で獲得できた部分が大きい。勝って兜の緒を締めよ。というわけで、引き続き頑張る。

  • この頃の勉強量・15時間/日
  • この頃の勉強の割合 講義の予習5:復習0:自分のインプット3:問題演習2

法科大学院2年

 ともあれ、1年夏休みの大反省大会&勉強方法の抜本的見直しで、「法律の学修の感覚」をつかんだので、勉強量は減ったにも関わらず、安定してまあまあの答案が書けるようになってきた。やはり、何事もスタートダッシュが肝心である。あとは、無駄な作業を恐れないこと。最初に全力で大量の無駄な行為を行い、そこなら何かを得て良いポジションをGETし、後から楽をするモデル。

 2年後半から、まとめノート作成に着手。

  • この頃の勉強量・13時間/日
  • この頃の勉強の割合 講義の予習4:復習0:自分のインプット3:問題演習3

法科大学院3年

 前期から、司法試験過去問を全力で回す自主ゼミをスタート。書きまくる。アホ同士がまったり議論している時間などない!というわけで、添削や意見交換は最低限。

 予備試験なんて楽勝だ!左手で書いてやる!と豪語していたところ、短答であっさり落ちて、衝撃を受ける。が、落ち込んでいる暇はない!何故なら俺はアホだからだ!というスローガンとともに、引き続き書きまくる。

 伊藤塾の答練&TKCの模試のみ利用。変な方向にひねった問題で、「こんなん出るわけねー」と思った。反対に、辰巳の問題は論点そのまま出題!という感じで、つまらなかった。中間くらいが良いのに。まあ、問題の質ではなく受験生の中での相対的な位置を調査するのが目的だったので、甘受する。ただ、添削のレベルに落差がありすぎたのには参った。TKCの模試は、全国50番くらい。

  • この頃の勉強量・12時間/日
  • この頃の勉強の割合 講義の予習0:復習0:自分のインプット3:問題演習7

法科大学院修了後

 受験生あるあるだが、試験が近づくにつれ「もうダメだ…絶対落ちる…」という憂鬱に襲われる。検察官教員の教授に、「しっかりしろ!」と毎日1度叱咤激励してもらい、メンタルを保つ。

 直前2ヶ月くらいは、まあジタバタしても無駄なので、使い慣れた演習書とまとめノートさんをくるくる回していた。が、今から思えば、せっかくなので問題意識超高い系の演習書や、重判読み込みなんかをやっておくべきだったかと思う。そもそも、くるくる回すのは飽きるし。

 司法試験の本試験は、同期のみんなと楽しく受けた。休憩時間も、「あそこはああ書いた」「それありえねー」など、普段通りの会話であった。おっさんなのに、みんな仲良くしてくれてありがとう。やはりリラックスすることは大切である。社会人を経験していると、3年間しか勉強していないペーペーが、まともな法的文書なんて書けるわけないさっ、と割り切ることができてよかった。

 以上である。

… あまりの乱文に、気分を害された方がいらっしゃったらすみません。細かい勉強方法が知りたい人はどんどん質問コメント下さい。

※2019年7月18日「予備校の利用についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか」というご質問があったので、追記します。突然文体が違いますが(笑)。

予備校の利用について

 予備校を利用するべきかーこればかりは(ほぼ)完全に主観的な判断になり、なかなか一般化することは難しいように思います。が、一応筆者の個人的見解を述べますと、「有用だが、必要ではない。利用するなら、法科大学院入学前に利用すべき」というものです。

 とりあえず、筆者は模試・答練でしか予備校を利用していませんので、なぜそのような判断に至ったかをご説明します。

1. 自信過剰だった

 これはまぁ生まれもっての性格で、「俺レベル司法試験なんて楽勝である」という謎の勘違いがあった、というのが大きいです。「予備校っていうけどさ、そもそも予備っていうワード自体が気に入らん。俺に予備は不要。」みたいな謎のプライドも併せ持っていました。めんどくさ。そんな訳で、上記の通り、そもそも塾自体ほとんど行ったことが無かったわけですね。

2. 法科大学院を信用していた

 「それなりに有名な大学の法科大学院行って、マジメに勉強して司法試験落ちるわけないじゃん」という具合で、大学等の教育機関や、教員の先生方を信用していた、というのもあります。これも、他人を信用しやすい、という生まれ持っての性格もあるのですが、大学・社会人の経験を通じて、(国際的にはレベル低いけど)やっぱり大学の教員や、いわゆる高学歴エリート層には面白くて優秀な人が多い、と実感していたのも大きいと思います。

 「法科大学院でマジメに勉強して落ちる人もいるよ」という意見もありましたが、筆者は「それは相手(法科大学院)じゃなくて、自分の努力の方法が間違ってたんじゃないの」と考えるタイプでした。法科大学院の過去の実績を参照すれば、成績と司法試験合格との間に明らかな相関性が認められますので。

 上記の「自信過剰」と相反するのでは?と思われるかもしれませんが、自分には自信があるからこそ、安心して他者ー法科大学院を信用していたような気もします。

3. いつまでも「基本書が難しい」では困る

 これが実質的な理由でしょうか。冷静に考えると、司法試験に合格することそれ自体が目的なのではなく、法曹になって社会に面白い影響を与える仕事をしたり、教員になって研究をしたり、バリバリお金を稼いで面白い事業を起こしたり、ということが目的なわけです。

 そもそも、基本書などは、有名大学の教授等、社会通念上は優秀だとされている方々が、可能な限りわかりやすく書いた教材のはずです。そうだとすると、これが「難しい」と感じるのはしょうがないとしても、「他人の手助けがないとわからない」では困ってしまいます。司法試験の合格が覚束ないということもありますが、そもそもそんな読解力では、上記の「真の目的」を達成できないー合格後に活躍することが難しくなってしまうからです。世の中には、井田刑法や宍戸憲法の何百倍も難しく、分量も多い文献なんていくらでもあるからです。

 アウトプットや、友人とのインタラクションで勉強法を改善することももちろん大切です。しかしながら、結局はインプットが無ければ「ただの空洞」でしかなく、空洞を埋めていく素材ー教材は世界の隅々から独力で拾ってこなければなりません。初めて接する事物や概念が理解し難いのは当たり前のことで、大切なのは、そこで我慢して何とか独力で理解しよう、という忍耐力です。そのトライ&エラーで読解力が身についていくのですから、予備校には行くべきではないな、と考えたというわけです。

4. 友人のアドバイス

 さて、いかに自信過剰でも、上記の通り、他人のアドバイスに耳を傾けることも必要です。筆者はマスコミで働いていたのですが、その時の同期の親友が、同じく非法学部出身でしたが、法科大学院を経て、司法試験に18番?19番?くらいで合格した、ということがありました。

 一応、そいつに電話して「予備校行ってた?」と聞いたところ、「あー別に行かんでもええで(関西出身)。模試とかは利用したけどな。」という返答でした。「だよな。俺もそう思ってたわ」ーという訳です。やっぱり、持つべきは友達ですね。この友人はクロスボーダーM&Aが専門なので、今度記事でも書いてもらおうかと思います。

5. なお、

 予備校に行くなら、法科大学院入学前が良いと思います。入学後だと、負担が重すぎますし、どちらも中途半端になると思います。予備校でも、法科大学院でも、自分が好きな方どちらか一つに注力した方が合理的だと思います。一応、ありまる君が伊藤塾出身者なので、また何か記事を書いてくれないかな~と思います。