だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

働きながら司法試験を目指す2(勉強法編)

 たすまるです。こんにちは。

私は社会人受験生なので、どうしても時間的物理的に勉強時間が限られています。もし、仕事をしながらでも合格できる力を身につけるための方法論なり教材を絞った提案等していただくと幸いです。ただ、できる限り私も上位合格を狙い教材はなるべく惜しみなく使用しようとは思っております。
アドバイス頂きたいです。よろしくお願いします。

 というコメントでのご質問がありましたので、社会人仕事持ち受験生の勉強法を考察してみたいと思います。とはいえ、筆者は下記記事の通り、仕事はすぐに辞めてしまって「専業受験生」となっていましたので、実際には、仕事に追われながら勉強をしていたわけではありません。

  従って、下記の検討は「筆者だったらこうしただろうな~」という想像に過ぎません。本格的に「兼業受験生」をやられた諸先輩方のブログの方がずっと参考になると思いますので、筆者の検討はあくまでご参考程度に、ということにご留意下さい。

兼業受験生の弱点

時間が無い

 まず、ご質問戴いた通り、兼業受験生は圧倒的に時間がありません。これは辛いですね。筆者の感覚では、司法試験一発合格のためには最低5000時間は勉強しなくてはなりません(下記記事も参照)。

 5000時間勉強するには… 毎日18時には帰宅、夕食&入浴&最低限の家事をして、20時~1時勉強して5時間、毎日勉強して365日で1825時間。1825時間×3年間で、5475時間。まずは、このように勉強時間を捻出することが重要だと思います。

仲間がいない

 次に、兼業受験生は多くの場合、独学となることが多いと考えられます。「仲間と勉強できない!」というやつですが、法律の学習のうち80%以上は自学自習で何とかなる、というより自学自習した方が良いというのが持論ですので、この点はそこまで大きな問題では無いように思います。下記記事もご参照下さい。 

優秀な先生に教われない

 法科大学院にせよ、予備校にせよ、有名教授、名物講師がいます。こういった先生方に教わることができるのは、魅力的です。しかし、一部の先生の専門分野を除けば、「その先生からしか教われない」といった内容はありません。特に、司法試験に必要な内容に限って言えば、厚めの基本書に掲載されている内容が全てです。教え方の上手い下手はあるとは思いますが、優秀な先生に教われないことが大きなデメリットになるとは思いません。もっとも、筆者は先端的な内容を教授から教わることが大好き&メリットだと考えていましたので、法科大学院への進学は大いにオススメします。上記の「働きながら司法試験を目指す1」の記事もご覧ください。

客観的評価が難しい

 私が、兼業受験生ー特に、法科大学院にも予備校にも通わず受験される方が最も不利ではないかな、と感じるのがこの点です。上記の通り、勉強の基本は自学自習です。もっとも、たまに「友人と議論する」「先生に質問する」「定期試験を受ける」といったインタラクションの中で、自分の実力を客観的に把握することは非常に重要です。
 兼業受験生は、仲間がいないー教授がいないーことによる副作用、客観的評価の機会が不足することが、大きなデメリットであるように思います。

 これらが、兼業受験生の有していそうな弱点の整理です。てんで的外れでしたら、すみません。以上を踏まえて、「もし自分が兼業受験生だったら」という視点から、兼業受験生にオススメしたい勉強法を、優先順位に沿って提案したいと思います。

1. 決死の勢いで仲間をスカウト

 まずは、「客観的評価が難しい」という最大の問題を解決する必要があります。何度も申し上げていますが、インプットそれ自体は自学自習が基本ですが、アウトプットを客観的に評価することはとても大切です。「あなたの言っていること(※内容、というより立論の方法)、変だよ!」と気軽に言ってもらえる環境が必要なのです。誰の心も動かせない答案を黙々と書くことほど無駄なこともありません。という訳で、私が兼業受験生であれば、まずは、予備校の講座を一つだけとったり、ブログやSNSなどで(宣伝)しつこく質問したりして、優秀な仲間をスカウトすることから始めます。

 その際、人間ですから、どうしても似た環境・似たタイプ・似た学力の人と仲良くなってしまいがちですが、目的は「仲間と一緒に司法試験に受かる」ことにあるのですから、とにかく合格可能性が高い(と考えられる)優秀な仲間を探すことが大切です。

 上記の「筆者の勉強史」の記事通り、筆者自身も、まずT君という10歳以上年下&自分とは全く違う数学タイプの同期に必死に絡んで、仲良くしてもらうことから始めました。これはバカにならないと思います。

2. 模試は全部受ける、有名ローの入試問題も解く

 これも、「客観的評価が難しい」問題の解決法です。まず、予備校の模試(一応、TKCがオススメです。まあ何でも良いと思います)は全部受けるべきです。それだけにとどまらず、有名ローの既修者コースの入試問題を入手して、これを解きまくるのも良いと思います。同世代のライバルの実力が把握できるからです。5000時間・3年間での合格を目指すのであれば、2年目には入試問題がある程度解けるようになっている必要があります。これはかなり難しい課題ですが、信頼できるベンチマークになると思います。

3. アウトプットを最大限重視

 次に、「時間が無い」問題の解決です。本来であれば、過去記事の通り、「最初の半年は色々試して、自分の学習法を確立するぞ~」という位の意気込みでも十分間に合うのですが、5000時間以下で合格しようと思った場合、ゴールから逆算してバンバン詰め込んでいかないと時間が足りなくなるように思います。

 というわけで、アウトプットを最大限重視した学習法をとる必要があります。とはいっても、これも千差万別ですので、筆者だったら、という主観的な意見を述べます。

最も薄い入門書を通読する

 このブログの記事も参考に、最も薄い入門書を一冊通読します。さすがにインプットゼロで演習書をやり始めるのは非効率的なので、いたし方ありません。

簡単な演習書をひたすら回す

 これが本命の勉強法です。とにかく早急に答案作成の作法を身に着け、答案に必要な情報をインプットする、という逆算的な勉強法を取らなければなりません。判例集や副読本、問題意識の高い演習書、最高の教材ではありますがー過去問に触れている暇はありません。基礎的な問題の答案が綺麗に書けなければ、永遠に発展的な問題は解けません。というわけで、簡単な演習書をひたすら回すことがオススメです。過去記事でも再三触れているように、最低限の網羅性、解説のわかり易さ等の点から、工藤北斗先生の実況論文講義シリーズがオススメです。

 憲法、行政法は残念ながら実況論文講義シリーズが出版されていません。また、他の予備校の演習書で、これだ!というものもありません。改訂されたかな?…という訳で、「基礎演習行政法」等、研究者の先生の演習書の中でも、少しでも簡単ーというより、「書き方の解説が丁寧なモノ」がオススメです。

工藤北斗の実況論文講義 民法 工藤北斗の実況論文講義 刑法 工藤北斗の実況論文講義 民事訴訟法 

 まとめノートは作らない

 答案作成の作法を身に着けると同時に、答案に必要な知識を逆算的に得るー基本書や、論証集を読むーことにより「1年間で有名ローの既修者コースに合格しよう」と思って勉強していたら、優雅にまとめノートを作っている暇などありません。論証集をやや改訂する程度でしょうか。論証集は、工藤北斗先生のモノがオススメです(下記記事も参照)。

短答対策はほどほどに

 短答対策も重要ではありますが、初期は論文の勉強に注力した方が良いと思います。短答でしか聞かれない知識ーいわゆる短答プロパーの問題もありますが、多くの問題(筆者の肌感覚では約50%)は論文を書くために必要な知識で十分解けるからです。論文の勉強で足りない知識を短答の問題集で補う、という感覚でしょうか。

4. 過去問を徹底的に潰す

 上記の「簡単な演習書」を最低5周くらいして、「もう条件反射みたいに書ける」「ロングバージョンも、ショートバージョンも自由自在に書ける」という段階になったら、司法試験の過去問にチャレンジしましょう。過去問・出題趣旨は最高の教材です。本当は、過去問との「つなぎ」になるー問題意識の高い演習書に取り組みたいところですが、そんな時間も無いかと思います。過去問を回す、ということが言うは易し行うは難し、であることについては下記記事を参照して下さい。

 過去問学習の初期の段階で、インプットの穴を徹底的につぶしていくことが大切です。司法試験の過去問レベルになると、薄い入門書ではフォローしていない内容も多々登場しますので、その様な場合は図書館に行くしかありません。

5. 法学教室の演習、連載を読む

 どうしても「優秀な先生に教わりたい」「先端的な(かつ司法試験の出題可能性があるもの)問題意識にも触れたい」というニーズのある方は、法学教室がオススメです。低コストで、講義を受けているかのような感覚になれます。というより、そのような感覚になれるのが良い連載です。また、演習もコンパクトでオススメできます。

まとめ

 以上、非常に簡単ですが「もし自分が兼業受験生だったら」という想像上の提案でした。ざっくりとした記事ですので、質問やご意見がありましたら、気軽にコメント下さい。