だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

刑事訴訟法の基本書・判例集・演習書リスト〔2019年版〕

※2019年9月30日 改訂・追加により2019年版としました

 各教科のオススメ教材リストの第5弾、刑訴法です。刑訴法は、(誤解を恐れず言えば)司法試験の科目の中では最も「安定した得点源」としやすい科目だと思います。まず、範囲がさほど広くなく、捜査法・証拠法からはほぼ確実に出題されます。 また、少なくとも司法試験との関係で言えば、「理論や判例法理の深掘り」はそんなに…求められてはいません(実体的真実の発見の要請と人権保障の要請の調和の観点から○○と考える、と書かなければOK)。

 従って、受験勉強としては、基礎理論→基本書、司法試験出題レベルまでの理論武装→古江本、あとは、ひたすら判例を読み込み、演習であてはめ力を磨く、という感じが良いと思います。

初学者レベル(苦手な人向き)

基本書

 300頁の刑訴法入門書があってもいいはずなのですが、あいにくありません。きっとストゥディアで出版されるでしょうが。定評があるのは、入門刑事手続法ですが、これも意外と厚い(422頁)です。呉先生の基礎本シリーズでさえ、552頁。んじゃもうリークエ読むわ、という感じです。消去法で、入門には本書でしょうか。

判例集

 刑訴法の判例百選は、判旨の引用、解説の質・量ともに素晴らしく、必読です。同種前科・類似事実立証にかかる笹倉先生の解説など、是非読んでみて下さい。初学者の段階から、ボロボロになるまで読み込むべきです。

演習書

 初学者の演習書はこれ一択のように思います。工藤北斗先生の教材の中でも、最も良く出来ているものの一つではないでしょうか。完璧にこなせれば、法科大学院でも良い成績がとれるでしょう。やっぱり基礎が大事です。

基礎レベル(司法試験対応)

基本書

 池田先生、酒巻先生の基本書も良い本ですが、堀江先生記述の証拠法が圧倒的にわかりやすいこと、版が新しく最新判例(下級審)をフォローしていることから、リーガルクエストが一歩抜け出ていると思います。訴因変更については、少々独特の見解に立っているので、酒巻本・古江本などでの補足が必要です。

判例集

 刑訴法は、判例のあてはめを学ぶことが非常に重要です。必要性(緊急性)、相当性と言うのは簡単ですが、具体的にどんな事実をもってその要件充足を認めているのか、たくさんの判例を読んであてはめの感覚や言い回しを身に着けていくことが有用です。そういった意味で、判旨が長く引用されている本判例集はとてもオススメできます。

副読本

 こちらの記事で紹介した通り、古江先生の事例演習刑事訴訟法と、リーガルクエストで司法試験の上位合格は十分狙えます。

本書は、問題を読んで→起案する、という意味での演習書として利用するのではなく、副読本として論点の知識を深めるのに使えば良いと思います。

論証集

 演習書と同様に、工藤北斗先生の論証集の中では、刑事訴訟法は最も出来が良いもののひとつです。多少、長すぎるきらいがあるので、自分なりに改訂して使っていました。その辺りについては、下記記事も参照して下さい。

演習書

 本書一択です。問題の質、量、誘導の方法、配点、あらゆる意味で司法試験にフィットした演習書です。粟田先生の解説は必要最小限の簡潔なもので、答案にそのまま使いたくなるような美文です。もっとも、簡潔ゆえに、リーガルクエストくらいの知識は頭に(いったんは)入った人がやるべきです。また別の機会に書評します。

応用レベル(上位合格を狙う方)

基本書

 刑訴法の「辞書」はいろんなところに分散しています。松尾古稀とか。最有力候補は、やはり酒巻先生の体系書でしょうか。他には、刑訴法の争点にも一定の重要文献が載っており、おススメできます。

 あとは、法学教室の大澤先生による連載(対話で学ぶ刑訴法判例)はとても勉強になります。大澤先生の最近の連載は、ちょっと読めていないので、読んでその有用性がわかったら書評したいと思います。

判例集

 厳密な意味で判例集といって良いかどうかはわかりませんが、近時流行の「判例の内在的分析本」です。(残念ながら)川出説は押し出してこられませんが、解説がとてつもなくわかりやすいです。再逮捕・再勾留の可否についての説明は、本書が最もわかりやすいでしょう。

 川出ファンの私としては、全受験生に読むことを義務付けたい気分です。なんと受験直前の5月に公訴提起篇を買ってました。そういうのはやめましょう。古江本がどうしても馴染めない方は、リークエ+本書、という取り合わせも良いでしょう。

演習書

 エクササイズが良く出来すぎていて、他にやるべき演習書がありません。と思っていたら、伝聞法則に特化した、とても素晴らしい演習書が出ました。

 伝聞が苦手な方に役立つのはもちろん、得意な方でも、面白く読める本だと思います。別に難しくはないので、基礎レベルの方がやっても全く問題ありません。

 他の候補は、法学教室の演習(川出先生によるもの)とか、事例研究 刑事法Ⅱ 刑事訴訟法 第2版 とかでしょうか。しかし、そんな時間があるなら司法試験の過去問を解きまくった方が良いと思います。誘導に乗り、事実を使う訓練になります。また、刑訴法は試験問題に配点が記載されていないので、採点実感を読みながら、だいたいの点数配分を把握し、適切に時間配分しつつ書ききる、という訓練は非常に重要です。