だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、平成30年司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

基本書の読み方<初歩編ー「つまり読み」>

はじめに

 知識の獲得、すなわちインプットの王道といえば基本書ですね。私は非法学部出身なので、この「基本書」という謎のネーミングに馴染めませんでした。今でも、基本書なるものの正確な定義はよくわかりません。

 それはさておき、法律の学習をする人にとって、まず重要な問題は①基本書の選択です。次に②基本書の読み方が来ます。さらに、③基本書の使い方(アウトプットへのつなぎ方)と進みます。①③は別の機会に書くとして、今日は②について私見を書いてみます。

※2019/2/17追記 ①基本書の選択については、下記記事をご覧下さい。

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抽象と具体を行ったり来たりする

 基本書の読み方として、よく、「抽象的で難しい概念は→具体的な事案を想像してみるとよくわかる」的な事が言われます。そりゃ確かにその通り。ケース・メソッド式の基本書も大流行です。なのですが、「具体的な事案の想像」で思考がストップしたまま、漫然と基本書を読んでいる人が多いなあ、という印象を持ちます。

 例えば(←これがまさにケース・メソッド)、「公示の原則と、公信の原則の違いってなあに?」と質問すると、「例えば、不動産の売買で、甲名義の登記があったとして・・・」と、冒頭から「例えば」で説明する人がいます。

 が、法律はあくまで抽象的・一般的な命題です。法律には、(普通は)固有名詞は書いてありません。法的三段論法も、①抽象的・一般的命題(法律)に、②具体的・個別的事実をあてはめて、③結論を得るものです。法律の条文をケース・メソッドで理解するのは(当然)良いことなのですが、最終的には、抽象的・一般的命題のかたちで脳みそに格納し、抽象的な論理操作(=解釈)ができるようにしておかなければなりません。旧司法試験の一行問題も、結局、抽象的な論理操作ができるかをみているわけです。高橋宏志教授の言辞を借りれば、「要するに(←これも抽象化)、法律学の勉強では抽象、具体の循環、相互補強を試みなければなら」ないのです。(高橋宏志「民事訴訟法概論」(2016年、有斐閣)12頁)

つまり読みのススメ

 長々と至極当然のことを書いてきましたが・・・で、結局、どーやって読めば抽象的・一般的命題のままインプットできるの?ということなんですが、これについては、「つまり読み」をオススメします。
 「つまり読み」とは、基本書をだーっと読んでいき、一定のところ(これも自分で判断する)で、「つまり」「要するに」「○○○は△△△ってことね」と脳内で要約する読み方です。○○○・△△△という部分には、当然、一般名詞(抽象的・一般的な単語)が入ります。これだけで、要約による、抽象的な論理操作の訓練になります。また、自分の言葉に置き換えることにより記憶への定着率が高まり、かつ、潜在的に論述・論証の訓練もしていることになり、アウトプットの向上にもつながります。なんか総花的でテレビショッピングみたいになってきた。

 「つまり読み」に忘れてはならないのが、「信頼できる他者に確認すること」です。簡単です。成績トップクラスの同期や先輩、わかりやすい講義をしてくれる教授、偶然知り合った弁護士の先生などに、「○○○って△△△ってことですよねぇ?」と確認することです。相手も法律家(かその卵)ですから、きちんと抽象的に返してくるはずで、これにより、ますます抽象的な論理操作が鍛えられ、また、唯我独尊に陥ることを防ぐことができます。

まとめ

 というわけで、「つまり読み」「&確認」をオススメします。当然のことをドヤって恐縮ですが、一所懸命基本書を読んでいるのにどうも成果が出ない、という下級生が結構おり、その(解決手段の)最大公約数が「つまり読み」にあると思い、敢えて書きました。反対に、私が短期間でなんとか司法試験に合格できたのも、「つまり読み」がもともと身についていた(勉強は嫌いだったが、経済学や物理学等の本を読むのは好きだった)こともあると思います。