だいたい正しそうな司法試験の勉強法

30代社会人、妻子あり。「純粋未修」で法科大学院に入学し、平成30年司法試験に一発合格。勉強法・書評のブログです。

<判旨>から読み解く民法

〈判旨〉から読み解く民法 (法学教室ライブラリィ)

〈判旨〉から読み解く民法 (法学教室ライブラリィ)

 

・説明が わかり辛い ★★☆☆☆ わかり易い

・内容が 意識高い ★☆☆☆☆ 基本的 

・範囲が 深掘り的 ★★☆☆☆ 網羅的

・文章が 書きづらい ★★☆☆☆ 論証向き

・司法試験お役立ち度 ★★☆☆☆

・ひとことで言うと「ややオーバースペックな論点集」

 初めの記事は、書評にしてみます。

司法試験に出てるやん…

本試験の半年くらい前に、「○○法は最後にこれ読んで仕上げよう」と思い購入し、結局本棚の肥やしになってた本のうち一冊。法学教室の、「逆引き民法☆24の判旨」という、一見ポップな連載を書籍化したものです。なお、内容は鬼のように硬派です。試験後、せっかくだからと思い通読していたら、衝撃の記載が。

…(要約)Yは、本件自動車を購入し、自ら登録名義を備えた・・・Yは、これを息子Aに譲渡したが、登録名義は自分のままにしていた。Aは本件自動車をXの土地に無断で放置した。XはYに本件自動車の撤去を求めた…

・・・こ、これは平成30年度司法試験・民法の設問2(2)にかなり近いではないか!くうぅ、試験前にこれさえ読んでいれば、現場で平成6年判決(最判平成6年2月8日民集48巻2号373頁)をこねくり回さずにすんだ。あと5点は高かっただろう。無念。

<判旨>から読み解く民法の内容

さて、内容は、まさに民法の重要判例の「内在的理解&射程の分析」をコンセプトとした論点解説集(副読本)です。最近、このようなコンセプトの本が多いですね。「憲法判例の射程」や、「会社法判例の読み方」とか。前2冊は、司法試験必携であると個人的には思っているのですが、この本はそこまでではありません。そもそも民法は範囲が膨大(すぎる)ので、判例を深掘りしている暇があったら、基本事項を押さえることに注力した方が、コストパフォーマンスは高い場合が多いからです。

<判旨>から読み解く民法の用途

常に「判例の射程」を自動的に意識せざるを得ない(というか、意識しないと良い答案が書けない)憲法、行政法、刑訴法等と異なり、民法では、滅多に判例の射程なんて意識しないですよね。
 にも関わらず、司法試験では出題される(今年の設問2や、平成25年の設問3)わけです。そういう問題は、まあみんなホドホドのことしか書けないや、と諦めるのが一案。いやいや、司法試験委員会の高い問題意識について行って、民法も好成績で、上位合格を狙うのだ!という方には、この本は格好の教材となると思います。百選の解説から射程を丁寧に拾っていくよりは、さすがに効率が良いと思います。

 また、(範囲の膨大ゆえに)おざなりにしてきた判例理解のまとめ(という名の論証パターン)を見直す良いきっかけにもなります。
 例えば、留置権の成立要件としての「牽連性」でいうと、制度趣旨は履行の間接的強制だから債権者と引渡請求権者が同一人で・・・なくても良い!(本書第9講)。抵当権の物上代位における差押えにつき、最高裁は第三債務者保護説を一般的に採用し・・・たわけではない!(本書第10講)。など。古積先生(集合動産譲渡担保の分析論で有名ですね)が切れ味鋭く踏み込んでいくのですが、基本事項が整理できていない人は頭が混乱すること必至です。

 なお、前者の論点についての深掘りは、試験対策としても意味があると思いますので、また別の機会に記事にしたいと思います。