食道がん( 食道癌 ・ 食道ガン )
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転移を起こしやすい消化器のガン。食道ガンは多くの場合、食道の真中あたりか、下3分の1の領域に発症します。消火管の外側は一般に「漿膜」と呼ばれる丈夫な膜でおおわれています。この膜があるおかげで、内部で発症したガンが外側へ広がりにくくなっています。しかし食道の外側は線維質のうすい膜で、しかも食道の周囲には、気管、肺、大動脈、リンパ系などの重要な器官が集中しています。そのため食道に発症したガンは、他の臓器へ容易に浸潤していきます。ガンが大きくなり、周囲へ広がれば広がるほど、他の器官に転移する確率も高くなります。そして、ガン細胞が血流に乗って運ばれると肺、肝臓、骨などに転移します。この他、リンパ系づたいに転移が進むと、原発病巣から離れたリンパ節やその周囲にも転移が”飛び火”することがあります。このように食道ガンは他の臓器に非常に浸潤・転移しやすいことから、早期に発見できるかどうかで、治療後の回復状態のよしあしが大きく変わってきます。食道ガンは、食道を作っているどの細胞がガン化したかによって、次の2種類に大別されます。第1は「扁平上皮ガン」です。食道の内部にある粘膜層をつくっている細胞は扁平上皮細胞と呼ばれ、日本における食道ガン全体の90%以上がこの部分に発症します。第2は、粘膜を分泌する腺に生じる「腺ガン」です。日本では全体の10%以下ですが、アメリカでは食道ガンの40%を占めます。また、食道のどの部分に発症したかによって、「頸部食道ガン」「胸部食道ガン」「腹部食道ガン」の3つに大別されます。 食道ガン患者の平均5年生存率は15%〜35%と、すべてのガンの中でもっとも低いガンのひとつとなっています。しかしこれでも20年前の10%以下に比べると、かなり改善されているということができます。手術によってガン病巣を完全に切除できた場合の5年生存率は、50%を上回ります。今後、食道ガンの治療選択肢はさらに広がります。そのいくつかはまだ開発段階ですが、すでに臨床試験中のものもあります。そのひとつが遺伝子治療です。これは、ガン細胞の増殖を抑制する「p53遺伝子」を、毒性をなくしたウイルスに組み込み、内視鏡を使って直接口からガン病巣に注入するというものです。P53遺伝子がガン病巣でうまく働き始めると、ガンが縮小していくと考えられています。また最近では、組織再生医療の急速な進展により、食道の再生も可能になりつつあります。
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